Destinyー運命の人ー
綺麗なお姉さんが立っていた。


「絢斗くぅん、お姉さん、寂しくなって来ちゃった♡」


露出度の高い服を着て、さらに少し雨で濡れていて色気がすごい。


え、エロい…


しかもナイスボディ。


胸元が見えてるよ?!えっ!?



「明美さん、俺に会いに来てくれたの?
こんな天気なのに??嬉しいなぁ」



「絢斗君、今日も泊まっていっていい?」



「ごめんね、俺今日は…」



な、な、な、何!?



もしかしてそーゆー関係?



わ、私帰った方がいいよね。



でも、あそこに出るのは無理…



「ねぇ、絢斗くぅん♡」


そう言ってお姉さんは身体を絢斗君にくっつける。


あんな身体くっつけられたら女の私でもどうにかなりそうよ!!



「今日は用事があるんだ、ごめんね。」



「えぇ〜」


お姉さんは悲しそうに絢斗君を見る。



「じゃあ…」


そう言って絢斗君はお姉さんとキスをする。



女の人は絢斗君の身体を触り、絢斗君もお姉さんの体のあちこちを触っている。



……。



その瞬間、私は嫌な気持ちになった。



言葉にできない、この気持ち…



「んっ…ぁ…♡」



……。


帰りたい。


今すぐ、ここに来るんじゃなかった。


涙が出そうになる。



ずっと探していた人が、昔と一緒とは限らないんだ。



「それじゃあ、明日の夜は相手してよ〜」



そう言ってお姉さんは帰っていった。



普通にキスしてたし、身体も触り合っていた。



…もう、嫌だ。



絢斗君が部屋に戻ったのを確認すると、私はそーっと玄関まで行った。



傘使えって言ってたけど…


使ったら返さなきゃ行けないよね。


私はガチャっとドアを開けた。



「アヤメちゃん、戻って来てたなら声かけてよ〜、もう帰るの?」



……顔を見ることができない。



「う、うん。
帰りが遅いと心配かけちゃつし、そろそろ帰らないと…ありがとうね。」



私はそう言ってすぐにドアを開ける。



「待って傘!それに制服も…」



呼び止められる声が聞こえたけど、私は戻りたくなくて飛び出す。



…バカ



私の、バカ…



なんで、こんなことになるのかなぁ…



私は涙を拭いながら全力で走る。



もう涙か雨かわからなくなる。



「秋人……」



だめだ、秋人がいないと私、何にもできない。



それどころか、失敗ばかり。



「おいっ!!」



呼び止められる声がした。



いやだ、止まらない。



帰るんだ、帰りたい…



ううん、できることなら1人になりたい、帰るのもいやだ、このまま消えたい…



誰もいないところで静かに……



「おいっ、待てっつってんだろ!!」



ガシッと肩を掴まれる。



「いやっっ!離して!!
私に触らないで!」


私はその手を払い除ける。



涙で視界がくしゃくしゃだ。



「お嬢っ、おまえ…」



っ…!



私は慌てて駆け出そうとするけど、手首を掴まれてしまう。



「どうして…、離してよ!いや!!」



「落ち着け!俺だよ、秋人だ!!」



私はそのまま包み込まれるように抱きしめられる。



「あき…ひと…?」



誰の声なのか判断すらできていなかったのか、私は。



秋人…



力が抜けて、膝をついてしまう。



こんな雨の中しゃがんだら余計に濡れるのはわかっているのに、立てない、力が入らない。



「大丈夫か?
何があった…」



私は答えることができない。



言葉にしたくない。



あれは幻だ。そう思いたいのに、言ってしまったら本当のような気がして…



「…言いたくないなら無理には聞かねぇ。
とりあえず帰るぞ。
奥様も心配している。」



「うん…」



私は立ち上がろうとするけど…



あれ…



もう大丈夫だと思ったのに。




「…立てねぇようだな。
ほら、おぶってやるから。」



「でも、、、」



「いいから黙って乗れ!」



私は黙って秋人の背中に身体を預ける。



温かい。



秋人の体温が私に伝わる。




そのあとは意識がなくなっていた。



きっと眠ったんだと思う。













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