貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます【番外編追加しました】
「ありがとう。この色合い、とてもきれいで気に入っているの」

「なかなか手に入らない貴重なものらしいよ。ところで、急にどうしたんだい?」
 どうしてもすぐに会いたいと文をもらって、欄悠はいつも彼女と待ち合わせに使っている河原へとやってきたのだ。

 紅華は、表情を引き締めて欄悠を見上げた。

「欄悠、私と逃げて!」
「え?」
 はっしと腕をつかまれて、欄悠はきょとんと聞き返す。

「逃げる? どこへ?」
「どこへでもいいの。欄悠と一緒なら。私……私、後宮へ上がることになってしまったのよ」
 とたんに欄悠の顔がこわばる。
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