仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 肩や首の周りにラメ入りのパウダーをまぶされ、エントランスに戻る頃には到着してから三時間近く経過している。

 美香の案内で教会へ移動しながらげんなりと肩を落とした。

「新婦さんって大変だったんだね……」

「始まる前からそんな顔しないの。ここからが本番だよ?」

「こんなに時間かかって大丈夫?」

「だからって手を抜くわけにはいかないでしょ」

「まあ、そうなんだけど。……モデルって大変だね」

 しみじみ思いながらあとに続くと、やがて閉ざされたドアの前へとやってきた。

 ずっと前を歩いていた美香が立ち止まり、私を振り返って微笑む。

「いつもはこっち側だろうけど、今日は私がこっち。……行ってらっしゃい」

(たしかにいつもは私が新婦を送り出す側だったな)
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