仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
短編:幸せを噛みしめる夜
我が家のリビングには微妙な空きスペースがあった。ソファやテーブル、チェストにちょっとしたインテリア雑貨と、モデルルームのように品のある家具が並んでいる中で、ソファのすぐ横だけがなんとなく物寂しい。

 この家の家具を揃えたのは大手家具屋の副社長である和孝さんだった。

 本当だったら妻となった私も一緒に選ぶところだったのだろうけれど、残念ながら結婚当時、私たちの仲は良好と言い難い状況で叶わなかった。

 だからというのもあって、今日は和孝さんと空きスペースを埋めるキャビネットを購入しに家具屋へ来ていた。義父が社長を務めるミナサキ家具ではなく、別の大手メーカーである。

「本当にミナサキ家具じゃなくていいの?」

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