あした、君が僕と出会うまで
一章

事故


さっきまで雨が降っていたのに、



いきなり空が晴れだした。


僕はさしていた折畳み傘を閉じて、



鞄の中に入れる。



プルルルル
『もしもし、

村上賢吾さんの携帯であってますか?』

け「はい」

『私は

東山病院の里中と申します。


奥様の意識が戻られました

今すぐ来れますか?』



その連絡を受けたあと、


僕は虹がかかっていることを無視して、



急な下り坂を走って下りた。




下り坂の右側には

3つの曲がり角があって、


3つ目の国道に繋がる道を曲がる。



その時だった。


愛梨と結婚してから



愛梨が入院してから、


5年間、


通い続けた道で、


僕は事故にあった。



いきなり、体に大きな衝撃が襲い、



走馬灯のように


愛梨との恋物語を思い出す。


あのとき、


出会っていなければ、


せめて、

結婚していなければ、



こんな運命からは抜け出せたかもしれない。
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