シンクロニシティ【中学生日記】
「一応タイヤに空気入れてるけど……虫ゴムってやつ替えないとダメなんだ」

「ムシ?」
「うん。虫っぽいゴム管。100均に修理キット売ってるけど…」
 
「じゃ行こうよ!これから」

 100円均一の店は、帰る方向の街なかにあった。校門から続く桜並木を、二人は自転車を押しながら歩きだす。

「そういえば、さっきテツローくんが言い出しかけたこと、何だった?」

「あぁ… オレさ国語、苦手じゃん。どうしたら好きになれるかなって」

 好き、という言葉に、奈緒の心拍数が少し上がる。

「そうだな… わたしなら、ラブレター書くための勉強って思う」

(あ、アタシ、思っていること、そのまま言っちゃったょ。どうしよ…)
 とりつくろうように言葉を続ける。

「言葉を楽しんじゃえ! そうすれば好きになるって」

(アタシ、妙に彼のこと意識してるってば)
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