月に魔法をかけられて
「俺と瞳子が夫婦なんてどう見たらそう見えるんだよ。たとえ姉弟じゃなくても、こんな女は絶対に選ばねぇよ」

「で、でも……旦那さんに秘密をバラすって………」

「秘密？」

「あっ、すみません。パーティーのとき、お２人がお話しされてたことが聞こえてしまったんです……」

２人の顔を見ながら頭を下げる。

「ああ、俺が直人さんにバラすって言ってたやつか……」

副社長がクククッと笑いながら私を見たとき、ガチャリ──と再びドアが開いた。

「何を俺にバラすって？」

目鼻立ちのハッキリとしたとても爽やかで優しそうな男性が部屋に入ってきた。

「あっ……」

瞳子さんがバツの悪そうな顔をする。
その表情からおそらくこの人が瞳子さんの旦那さんのようだ。またしても瞳子さんの旦那さんまでイケメン。
副社長の周りにはどうしてこんなにもイケメンな男性ばかりなんだろう。

「えっ？　何でもないわよ」

急に瞳子さんが真っ赤な顔をしてうつむく。
そんな瞳子さんを副社長が笑いを堪えながら見ている。

「壮真？ 何を俺にバラすって？」

副社長に視線を移しながら瞳子さんの旦那さんが尋ねる。副社長はニヤニヤと笑いながら口を開いた。
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