月に魔法をかけられて
「それで美月ちゃんは?」

「いない……」

「そりゃ、お前と一緒に泊まるわけないからそこにはいないだろうけど、帰ったのか?」

「分からない……。だが、メモが残してあった」

「なんて?」

「支払いは済ませてあるから、鍵だけフロントに返してくれって……」

「それはさー、おそらくお前をそこに泊めて帰ったんだよ。あー、俺が美月ちゃんにお前のこと頼んだせいで、悪いことしたな……。かなり遅かったと思うのに、美月ちゃん大丈夫だったのかな? とにかくお前さ、月曜日に美月ちゃんにちゃんと謝っておけよ」

「………………」

「おい壮真、聞いてるのか?」

「あ、ああ………。聞いてる…………」

俺は聡の電話を切ったあと、しばらく動けなかった。
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