怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
「買ったのは僕かも知れない。でも、睡眠薬なんて入れてない。あのとき飲み物を配ったのは大島さんだった。彼女が入れたかも知れないだろう? 僕は飲み物も飲んでない。でも車では自然に寝てしまうから、あの日も僕は寝てました。僕が寝てなかったっていう証拠はどこにもないだろう?」
「寝てなかった証拠は確かにありません。でも猪口さんは確かにタピオカミルクティを飲んでいました。彼女は爆睡してたはずです。じゃあ、彼女以外に誰が大島さんのお手伝いをしたんでしょうね?」
「知るか! だいたい一人でやったかも知れないじゃないか! 引き摺ったりすれば、一人で運べない重さじゃないんだろう?」
声を荒げた田中に要は、
「確かにそうですね。一人でやったのかも知れない。そこの証拠はないですから」
「だったら――」
「でも、それと殺人ってまったくの別物ですからね」
「……え?」
突き放した言い方と発せられた言葉に、瞬間的に田中の心臓が速くなった。
「あたし、順を追って話しますって言いましたよね? 本題ってここからです。ぶっちゃけ、アレを仕掛けたのが大島一人か、あなた入れて二人なのか、猪口――の可能性は遥かに低いけど、猪口さんなのかはどーでも良いんですよ。本題は殺人ですから」
要の人を食ったような態度に、一瞬呆けた。そして、瞬く間に怒りが湧いて来る。
「ふざけるな! なんなんだ、お前!」
「あたしですか? あたし達は――ほら、由希」
「ええ……言うの?」
「はい! せーの!」
要の掛け声に合わせて、由希は口を開いた。
「怪事件捜査クラブです!」

二人の声が合わさり、由希が恥ずかしそうに手で顔を覆う。対照的に要は自信満々に胸を張った。対して、突然の自己紹介をされた彼らは、ぽかーんとした表情を要達に向けた。
そういうことを言ってるんじゃないと、田中の表情が語っていたが、口にする代わりにため息を零し、椅子に疲れたように座り込んだ。
「高校生のおふざけに付き合うつもりはないんだよ。悪いけど、それで人を殺人者扱いするのはやめてくれないか」
「いや、あたし達は本気なんですけどねぇ」
「だから、名乗らない方が良かったのに……」
由希は誰にも聞こえないように低声で呟いたが、要の耳には届いていた。
(そんなに、変な名前なのかなぁ……?)
「寝てなかった証拠は確かにありません。でも猪口さんは確かにタピオカミルクティを飲んでいました。彼女は爆睡してたはずです。じゃあ、彼女以外に誰が大島さんのお手伝いをしたんでしょうね?」
「知るか! だいたい一人でやったかも知れないじゃないか! 引き摺ったりすれば、一人で運べない重さじゃないんだろう?」
声を荒げた田中に要は、
「確かにそうですね。一人でやったのかも知れない。そこの証拠はないですから」
「だったら――」
「でも、それと殺人ってまったくの別物ですからね」
「……え?」
突き放した言い方と発せられた言葉に、瞬間的に田中の心臓が速くなった。
「あたし、順を追って話しますって言いましたよね? 本題ってここからです。ぶっちゃけ、アレを仕掛けたのが大島一人か、あなた入れて二人なのか、猪口――の可能性は遥かに低いけど、猪口さんなのかはどーでも良いんですよ。本題は殺人ですから」
要の人を食ったような態度に、一瞬呆けた。そして、瞬く間に怒りが湧いて来る。
「ふざけるな! なんなんだ、お前!」
「あたしですか? あたし達は――ほら、由希」
「ええ……言うの?」
「はい! せーの!」
要の掛け声に合わせて、由希は口を開いた。
「怪事件捜査クラブです!」

二人の声が合わさり、由希が恥ずかしそうに手で顔を覆う。対照的に要は自信満々に胸を張った。対して、突然の自己紹介をされた彼らは、ぽかーんとした表情を要達に向けた。
そういうことを言ってるんじゃないと、田中の表情が語っていたが、口にする代わりにため息を零し、椅子に疲れたように座り込んだ。
「高校生のおふざけに付き合うつもりはないんだよ。悪いけど、それで人を殺人者扱いするのはやめてくれないか」
「いや、あたし達は本気なんですけどねぇ」
「だから、名乗らない方が良かったのに……」
由希は誰にも聞こえないように低声で呟いたが、要の耳には届いていた。
(そんなに、変な名前なのかなぁ……?)