星空ラブソング

打ち上げ中、竹田さんと言葉を交わしたのは一度きりだった。

終了時刻が近づく頃、ふと窓の外に視線をむけると、ビル前の広場に竹田さんの背中がみえた。

電話中かなって思ったけど、両手は設置されている柵に置かれているようで、空を見上げているようだった。

その背中がどこか悲しそうにも見えて、今すぐに駆け出して、隣に行きたい気持ちを必死にこらえるようにして、私は膝の上の手に力を込めた。

竹田さんは、頑張ってる学生になら誰にだって親切にするのかな。

どうしてさっきみたいに優しい言葉をかけてくれるのか、その真意を知りたいのにどうしたら良いのか分からない。

このもどかしい距離をどうにかしたい。

既婚者で子どもがいるのだから、これ以上好きになってはダメ。

ブレーキを踏もうと思えば思うほどに、どうしようもなく加速していくこの思いはどうかしてる。


竹田さんの瞳に映る夜空を私も傍で見たいと願ってしまった。


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