星空ラブソング


顔をあげたら視線が重なって、私が頭を下げると応えるようにして彼も小さく頷いた。

そして、扉側にある最前列のデスクの引き出しから順に鍵を開け始めた。

自習室のデスクには、施錠が出来る引き出しがついていて、ノートパソコンはその中に収納され、職員が開錠してくれなければ使用できないシステムになっている。

パソコンが利用できる11:00~16:00の時間以外は、パソコンがこの教室にあるかどうかもわからない状態だ。

私は職員とここ何日か職員と会わないだけだったのに、元気そうな姿が見られてどこかホッとしていることに気が付いた。

だんだんと足音が近づいてきて、すぐそばにいることを気にしながらも私は顔をあげずに手元の本に視線をなぞらせていた。

黒色の皮靴が視界の端に映りこんだと思ったら、ガチャという音と共に私が着席している列の引き出しも開錠された。

私の目元は本に向けられたまま、横を通り過ぎていく足音を聞いていた。

そして足音がパタリと消えたと思った途端、視界が明るくなり、私は思わず天井を見上げた。
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