好きって言いたい






『廉くんと美咲ちゃん、付き合い始めたらしいよ』



『ふたり美男美女でめっちゃお似合いじゃん』

『うわぁ廉くんと付き合えるとか羨ましいけど、あんな可愛いんじゃ割り込めないわぁ』









噂はすぐに私の耳にも入った
そりゃあもう、否応なしに。











毎休み時間にみんながそれぞれ席に集まってはこの話題でつきっきりだし











どんなに耳を塞いだって
どんなに窓の外に物思いにふけようとしたって
明日の分の宿題やろうとか柄にもなく集中しようとしたって


全部、もう全部聞こえる。
集中なんて出来たもんじゃない。



いや、別に気になるわけじゃないからね?

全然興味ないし、気にもならない。
ただうるさくて集中できないだけだから。









本当よくも飽きないよねみんな。
そんなヒトの恋愛事情なんぞ関係ないじゃん、




うん。関係ない。
私はぜんっぜん興味ない。もう、ぜんっぜん
















「大丈夫?変な顔してるけど」








「はっ?」



はたと目の前に現れたマコがぐぐっと屈んで顔を覗いてきた






「気にしてるかなぁと思って来てみたけど、やっぱり」


なにを?
なんて野暮な質問はしない。









「っ、全然!私には1μmも関係ない」





「そのわりにはさっきから手止まってますけど?」


「違うよ、うるさくて集中できなかっただけ」






「またまた意地張っちゃってぇ」

私の顔を見てはクスクス笑うマコには敵わないわ








意地?


そうだよ意地でなにが悪い。






「廉、と美咲ちゃん」




思ったより
その言葉を口にしたとき
自分の声が震えた









あー、私こんなに好きなんだっけ




「本当に付き合ったのかな…」



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