そろそろきみは、蹴られてくれ。
「……真咲」
ト、と、橘が篠山くんの背中を押し出す。
「見てるから、行ってこい」
少し強めに、はっきりと。──傷つけるふうでもなくて。
お互いがお互いを、わかりあっているんだ。そう思った。
篠山くんが駆け出していく。
橘はちらとわたしのほうを見て、
「真咲は、負けず嫌いなところもあるんだよ」
と言った。肩を竦めて、遠くを見ながら。
ぶっきらぼうにも思えた、くちぶり。なのに。
──橘。くちびるから、笑顔なことが見て取れるよ。
素直じゃないなぁ。