そろそろきみは、蹴られてくれ。
ドッ。
わたしの心拍数は跳ね上がって、どうしようもない。
吸って吐いて、吸って吐いて。
落ち着こうと呼吸を繰り返していると、
「紗奈ちゃん、補欠として出なくてよくて、よかったね」
橘がつぶやいた。
まわりが静かなこのタイミングで、なんでいきなり……一瞬思って、はっとする。
橘、わたしの緊張がそれほどまでにやばいって、わかってるんだ。
こんなにも緊張しているから、もし、選手として出ていたら……たいへんなことになっていたと思う。