それ以外の方法を僕は知らない





「先週の課題、まだ出してない人がいたら私のところまで」



月曜日の放課後。


日直である私が声掛けをすると、すぐに課題が未提出である者たちがちらほらと私の机の周りに集まった。

しっかり提出して去っていく人もいれば、「明日出す」だとか「まだやってない」だとかそんなことを伝えに来る人もいた。

提出したか否か。

それさえメモできれば何も問題はないので、未提出のクラスメイトたちには「オッケー」と一言返して終わりだ。



「音々(ねね)、帰る?」



全員に適当に返事をしながらノートを重ねていると、私の席の周りから人影が消えた頃を見計らって友人である杏奈が寄ってきた。




「あー…」

「まだ終わんない?」

「あ、えっとー…うーん、うん」




彼女の問いかけに曖昧な返事をしつつ、ちらりと窓際の席へ目を向ける。


視界の先に映るのは、頬杖をついているせいか少し前かがみになって机に座る一人の男子生徒の姿。

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