銀色ハウスメイト



小さい頃から人付き合いは得意な方ではなかったし、友達もほとんどいない。


でも別に、口下手なはずでもない。

心を許した相手になら、とても楽しく話せている。

広瀬さんに穂乃ちゃんに、桜井くんに。


……。


心を許せる相手。

それが、クラスにはいないというだけ。



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「三浦さんとか、どう?」



体育祭実行委員を自ら立候補するような活気あふれる生徒のいないわたしのクラス。

男子は割とすぐに決まったけれど、女子はなかなか決まらなくて。


たいして話も聞かずに窓の外を眺めていたわたしは、全く危機感がなかった。

頭の中は、「今日の夕飯どうしようかなあ」そればっかり。



「えっ?」



だから、突然投げかけられた学級委員の子の言葉にはまぬけな顔を返してしまったと思う。



「三浦さん、部活入ってなかったよね…?うちのクラス部活に所属している人が多くて。どうかな…?」



学級委員の子の目は、まさしく縋っていた。

よっぽど切羽詰まっていたのだろう。



「…実行委員、します」



ただ不安なだけだ。


わたしなんかにこの大役が務まるものか…。



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