どうして・・

···娘の幸せ


その日、
律は彩羽と離れたくなかったが
律の両親から
「久々に会えたのだから
少しだけでも一緒に
過ごさせてあげなさい。」
と、言われて
「彩羽。
明日の朝、迎えに行くから
一緒にジュエリーショップに
行ってくれる?
少しの時間しかなくて
申し訳ないけど今日は、
ご両親と一緒に過ごして。」
と、言う。

彩羽は、律のご両親の気持ちに
感謝しながらも
律が自分の事を心配してくれる
気持ちも良くわかっているから
「律、ありがとう。
お父さん、お母さんにも
お礼を伝えてね。
明日、待ってるから。
律もゆっくりしてね。」
と、言った。

律は、不安だったが
彩羽を抱き締めてから
「愛してる。」
と、言うと彩羽も
「私も律が大好きよ。」
と、言った。

律は、彩羽を実家に送り
自分の家へと帰って行った。

日本は、彩羽をにとって
辛い思い出しかない。
だから、律は心配だった。

寝る前も電話とLINEをして
彩羽の様子を見ていた。

翌日、律は店の開店少し前に
彩羽を実家に迎えに行った。

彩羽のご両親に挨拶をして
準備をして律の元に来た彩羽を
「おはよう。」と、同時に抱き締める。

彩羽は、律が自分の事を心配してくれて
いるのがわかっているから
両親の前だけど
抱き締められたまま
「律、おはよう。
迎えに来てくれてありがとう。」
と、言うと
律は彩羽を抱き締めたまま
首をふり
「お父さん、お母さんがいるから
大丈夫だとわかっているのに
勝手に心配してごめん。」
と、言ってくれた。

そんな律に愛しさが増す。

彩羽の両親である
隼人も彩も
律の気持ちが嬉しかった。

彩羽と律は、
指輪を買いに出掛けた。

指輪を渡したら
そのまま入籍を済ませて
両家に連絡をして
ドイツに戻る。

正直、隼人も彩も
この結婚に不安があった。

だが、日本へ戻ってきた
彩羽の顔、律と一緒にいる時の
娘の彩羽の表情や雰囲気に
自分達の心配はいらないとわかった。

律が私達親の前でも
自分の気持ちを素直に
彩羽に伝えながら
彩羽に寄り添う姿····

彼の彩羽を想う気持ちの強さや
そして、おもいやり
失う怖さを知っているから
自分の気持ちを隠さない素直さが
彩羽を変えたんだと······。。

彩羽のくもっていた
グリーングレーの瞳は、
キラキラと光り輝き
彩羽を引き立てて
我が娘ながら
美しいと思う

そう考える隼人の
手を彩がそっと触れる
彩もきっとわかっている。

俺は、彩の手に自分の手を
重ねながら
娘の幸せを心から願った。
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