契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
初めて乗るファーストクラス。
柔らかなブラウンの皮張りのシートに腰を下ろす。
一人一人独立した座席で空間にも余裕があり、高級感も漂っていた。
シートはフルフラットベットにも変わるらしい。

「凄いわよ、俊吾」

「そうはしゃぐな…杏南」

「だって…私…こんなの初めてだから…」

はしゃぐ私とは対照的に俊吾は落ち着いていた。

「君はイタリア行っても、この調子だな…きっと…」

「多分、そうかも」

「君に合わせたハネムーンプランじゃないのは申し訳ないけど…そうやって楽しんでくれたら、俺も嬉しいよ。杏南」

「俊吾・・・」

「何?」

「ありがとう…一生忘れないと思う…」

俊吾は優しげな含み笑いを浮かべてシートに背中を預けて寛いだ。

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