契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
駆け付けた警官によって病院に案内され、彼は手当てを受けた。
彼の怪我は大したコトなく、ホッと胸を撫で下ろして、ホテルに戻った。

「大変な怪我だったら、どうしようかと思った」

「杏南の方こそ無茶すんなよな…」

「だって…あのブレスレットは…俊吾が初めてくれたジュエリーよ…」

「・・・また、買えばいい…」

「買うって…あれ…百万でしょ?」

「…俺が行かなきゃ…切られてたのは杏南君だぞ…全く…君が傷つけられると思ったら、百万なんてどうでもいい…本当に杏南じゃなくて良かった」

「俊吾・・・」


「・・・此処は外国だ。日本じゃない。治安だって違うんだ…銃なんて持ってたら、命はないぞ。杏南」

「俊吾…ゴメンなさい…私が大切にブレスレット仕舞っておけば良かったのね…」

「・・・ブレスレット着けて、喜んでいる君に俺も『着けるな』とは言えなかった。俺も悪いさ」

「俊…吾…」

「何?」

「本当にゴメンね…」

「いいよ…別に」


「だから…泣くなっ。杏南」

「だって…」


「俺は君が無事で良かったと思ってる。俺にとって何よりも大切な存在だから」

「俊吾…」

私は感涙しちゃって大泣きしてしまった。

「おいおい…君の泣き方は昔と同じだな…」

彼は私を抱き締め、涙が枯れるまで付き合ってくれた。



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