契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
プレッシャー
私と俊吾が結婚して二ヵ月が過ぎた。
残暑の厳しい中の日曜日。
私達の部屋に俊吾の叔母・松下充子(マツシタミツコ)さんが訪ねて来た。
俊吾は仕事で不在。私だけで応対した。
「AIが言う…俊吾さんの誕生日まで後二ヵ月しかないんだけど…まだ、妊娠の兆候はないの?杏南さん」

「…はい、すいません…」

私は充子さんに頭を下げた。

「若いから…すぐに授かると思っていたけど…」

私のせいで、私達の間には夫婦の営みはなかった。

「一度、病院で見て貰いなさい…杏南さん」

「充子様…子供の件は俊吾様と杏南様の問題です。赤の他人が口を挟むモノではないと思いますが」

黒崎さんは私を責める充子さんをやんわりと窘める。

「お黙りなさい…執事の分際で…私は隠居した兄に代わり、俊吾さんの教育係を任されているのよ。黒崎。兄だって…早く孫の顔が見たいと言ってるわ…」

「しかし…充子様…」

「まぁ、いいわ…今日の所は帰りますけど…病院には行きなさい…私が優秀な産婦人科を紹介してあげますから…」



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