私たち、今日から付き合うことにしました。
「お待たせ。蜜柑さ、、、蜜柑。」
葉月くんがそう言って駐輪場にやって来る頃には既に、雲行きはだいぶ怪しくなっていた。いつ振り出してもおかしくない空模様。
「葉月くん!急いで帰らないと、雨で制服が濡れちゃうよ〜!早く帰ろう!」
本当は色々話しながら、連絡先とか交換してゆっくりと放課後を楽しむはずだったけれど、突然の雷を伴う夕立により予定変更だ。
「そうだよね!待たせてごめん。」
二人して、自転車を引っ張り出してサドルにまたがる。
「じゃあ、俺が先に走るから後ろからついてきてくれる?」
「うん。任せて!」
そう言って葉月くんが自転車のペダルを漕ぎ出したのとほぼ同じぐらいのタイミングで、私も自転車のペダルを踏んだ。
だいたい学校から家まで自転車なら30分もかからない距離だ。
歩いたら45分ぐらいかかってしまうけれど、これをデートというには些か短過ぎるので、完全にノーカウントだ。
黙々とペダルを漕いでいるうちに、交差点の信号待ちに差し掛かる。
「あのさ、蜜柑。」
「ん?なぁに?」
「俺、授業中ずっと考えてたんだけど、今日から下の名前で呼んでもいい?」
「うん。全然いいよ〜。」
「それとさ、俺のことも、下の名前で呼んで欲しいんだけど、、。」
そう言いながら、私の顔色を伺うかのようにチラッと視線を投げかけてくる。
なんかちょっと自信なさげで可愛い目つき。
例えるなら、ご主人様におねだりをしているときの、子犬みたいな感じだろうか。
「じゃあ、夏くんって呼ぶね。」
思わず笑顔になりながら、そう言った。
「えっ、いいの!?うわ、待って、心の準備が出来てないんだけど、、。」
そんなことを話していたら、あっという間に青信号に切り替わっていた。
「行かないの?」
「もうちょっと話したいから、いったんこの青信号は見送らせて。それでもいい?」
「うん。いいよ。」
「名前で呼んでくれて、ありがとう。雪。」
「うん。それも全然いいよ〜。こちらこそありがとう。」
そして今度は、赤信号に切り替わる。
「俺達さ昨日はちょっとぎこちなくて、あんまり話せなかったよね。」
「そだね。なんか、恥ずかしくて(笑)」
「それで連絡先を聞きそびれちゃったから、本当にごめん。これが俺の、連絡先です。」
夏くんが、制服のポケットの中から真っ白なメモ用紙を取り出して、それを私に差し出してきた。
「、、いいの?ありがとう〜。嬉しい。」
「うん。後で、暇なときに連絡してね。」
「うん。わかった!(笑)」
私はそれを有り難く受け取って、無くさないようにスクールバッグの中へ入れる。
「あ。信号が青だ。そろそろ行こっか。」
「早く行かないと雨が降りそう!行こう!」
そして案の定、帰り道の途中から激しい雨粒が制服や頬や髪を容赦なく濡らしていく。
もっとも、天気が本格的に崩れる頃までに、
夏くんとは別れていたから良かったけれど。
靴下までびしょ濡れになって、ようやく家に到着した。
今日は風邪をひかない為に、早めにお風呂に入って身体を温めたら、パジャマに着替えて学校と塾の宿題を終わらそう。
とその前に、桜ちゃんと夏くんをラインの友達に追加する。
このさり気ないひと手間がなんだか嬉しい。
これがあるかないかでだいぶ青春の思い出が変わりそうな予感がした。
桜ちゃんからは、宜しくねという可愛いスタンプがすぐに送られてくる。
私もスタンプを送りかえそうとしたときに、夏くんからもラインが届いた。
ドキドキしながら、トーク画面を開く。
[これから彼氏として宜しくね?]
[雪のこと、めちゃくちゃ大事にするから。]
[夏休み、いっぱい思い出つくろうな。]
そして最後に、会いたいなというスタンプが送られてきた。
思わずキュンキュンしてしまいそうだ。
私だって早くまた会いたくてしょうがない。
夏くんの笑顔とか仕草がもっと見たいから。
それと会いたい理由はもう一つある。
[告白してくれて凄い嬉しかったし、夏くんのことを選んでよかったなって、なんか今はねそう思ってるんだ。こちらこそ宜しくね?]
率直な気持ちを込めてラインを送りかえす。
[夏くんは、雨に濡れるの大丈夫だった?]
脱衣所に移動して、制服を脱ぎながらラインを送った。すると。
[うん。俺は全然大丈夫。ねぇ、ライン通話に切り替えても良いかな?迷惑じゃない?]
[今からお風呂に入るから、今は無理だけどお風呂あがりにライン通話とかどうかな?]
成り行きで、夏くんといや彼氏と、初めてのライン通話をする方向で話が盛り上がった。
[えー、すっごい期待してドキドキしちゃうかも(笑)なんか雪に焦らされてる気分(笑)]
[夏くんの声、早く聞きたいなぁ〜。]
そう、私は夏くんの声が好き。
男の子というより、ちょっと大人で男性的な低音のかっこいい声が好きだ。
夏くんとスタンプを送りあって、桜ちゃんにもスタンプを送った。
ようやく下着を脱いで、お風呂に入る。
シャワーを浴びて洗顔を済ませて、化粧水をつけてからパックをのせてその頃にはお湯がバスタブに並々と張られているから、更に入浴剤を入れて肩まで浸かる。
体の芯まで温まりながら、冷蔵庫で冷やされたパックで毛穴をキュッと引き締める。
夏場には気持ち良くて最高だ。
お風呂に入りながら、桜ちゃんとのライン。
[今、勉強中だよ(汗)蜜柑ちゃんに私の宿題を手伝って欲しいし、いっそのこと家庭教師として雇ってしまいたいレベルかも(笑)]
[いいよ〜。ところで時給はいくらですか?]
[バイト代は全て、私の手作りお菓子だよ♪]
[いいな〜。桜ちゃんのお菓子食べたいな。]
なんて事ない、いつも隣の席で会話しているような他愛のない会話達が、可愛いスタンプに彩られて画面の中で繰り広げられていく。
お風呂から上がるまで、ダラダラとラインは続いた。
葉月くんがそう言って駐輪場にやって来る頃には既に、雲行きはだいぶ怪しくなっていた。いつ振り出してもおかしくない空模様。
「葉月くん!急いで帰らないと、雨で制服が濡れちゃうよ〜!早く帰ろう!」
本当は色々話しながら、連絡先とか交換してゆっくりと放課後を楽しむはずだったけれど、突然の雷を伴う夕立により予定変更だ。
「そうだよね!待たせてごめん。」
二人して、自転車を引っ張り出してサドルにまたがる。
「じゃあ、俺が先に走るから後ろからついてきてくれる?」
「うん。任せて!」
そう言って葉月くんが自転車のペダルを漕ぎ出したのとほぼ同じぐらいのタイミングで、私も自転車のペダルを踏んだ。
だいたい学校から家まで自転車なら30分もかからない距離だ。
歩いたら45分ぐらいかかってしまうけれど、これをデートというには些か短過ぎるので、完全にノーカウントだ。
黙々とペダルを漕いでいるうちに、交差点の信号待ちに差し掛かる。
「あのさ、蜜柑。」
「ん?なぁに?」
「俺、授業中ずっと考えてたんだけど、今日から下の名前で呼んでもいい?」
「うん。全然いいよ〜。」
「それとさ、俺のことも、下の名前で呼んで欲しいんだけど、、。」
そう言いながら、私の顔色を伺うかのようにチラッと視線を投げかけてくる。
なんかちょっと自信なさげで可愛い目つき。
例えるなら、ご主人様におねだりをしているときの、子犬みたいな感じだろうか。
「じゃあ、夏くんって呼ぶね。」
思わず笑顔になりながら、そう言った。
「えっ、いいの!?うわ、待って、心の準備が出来てないんだけど、、。」
そんなことを話していたら、あっという間に青信号に切り替わっていた。
「行かないの?」
「もうちょっと話したいから、いったんこの青信号は見送らせて。それでもいい?」
「うん。いいよ。」
「名前で呼んでくれて、ありがとう。雪。」
「うん。それも全然いいよ〜。こちらこそありがとう。」
そして今度は、赤信号に切り替わる。
「俺達さ昨日はちょっとぎこちなくて、あんまり話せなかったよね。」
「そだね。なんか、恥ずかしくて(笑)」
「それで連絡先を聞きそびれちゃったから、本当にごめん。これが俺の、連絡先です。」
夏くんが、制服のポケットの中から真っ白なメモ用紙を取り出して、それを私に差し出してきた。
「、、いいの?ありがとう〜。嬉しい。」
「うん。後で、暇なときに連絡してね。」
「うん。わかった!(笑)」
私はそれを有り難く受け取って、無くさないようにスクールバッグの中へ入れる。
「あ。信号が青だ。そろそろ行こっか。」
「早く行かないと雨が降りそう!行こう!」
そして案の定、帰り道の途中から激しい雨粒が制服や頬や髪を容赦なく濡らしていく。
もっとも、天気が本格的に崩れる頃までに、
夏くんとは別れていたから良かったけれど。
靴下までびしょ濡れになって、ようやく家に到着した。
今日は風邪をひかない為に、早めにお風呂に入って身体を温めたら、パジャマに着替えて学校と塾の宿題を終わらそう。
とその前に、桜ちゃんと夏くんをラインの友達に追加する。
このさり気ないひと手間がなんだか嬉しい。
これがあるかないかでだいぶ青春の思い出が変わりそうな予感がした。
桜ちゃんからは、宜しくねという可愛いスタンプがすぐに送られてくる。
私もスタンプを送りかえそうとしたときに、夏くんからもラインが届いた。
ドキドキしながら、トーク画面を開く。
[これから彼氏として宜しくね?]
[雪のこと、めちゃくちゃ大事にするから。]
[夏休み、いっぱい思い出つくろうな。]
そして最後に、会いたいなというスタンプが送られてきた。
思わずキュンキュンしてしまいそうだ。
私だって早くまた会いたくてしょうがない。
夏くんの笑顔とか仕草がもっと見たいから。
それと会いたい理由はもう一つある。
[告白してくれて凄い嬉しかったし、夏くんのことを選んでよかったなって、なんか今はねそう思ってるんだ。こちらこそ宜しくね?]
率直な気持ちを込めてラインを送りかえす。
[夏くんは、雨に濡れるの大丈夫だった?]
脱衣所に移動して、制服を脱ぎながらラインを送った。すると。
[うん。俺は全然大丈夫。ねぇ、ライン通話に切り替えても良いかな?迷惑じゃない?]
[今からお風呂に入るから、今は無理だけどお風呂あがりにライン通話とかどうかな?]
成り行きで、夏くんといや彼氏と、初めてのライン通話をする方向で話が盛り上がった。
[えー、すっごい期待してドキドキしちゃうかも(笑)なんか雪に焦らされてる気分(笑)]
[夏くんの声、早く聞きたいなぁ〜。]
そう、私は夏くんの声が好き。
男の子というより、ちょっと大人で男性的な低音のかっこいい声が好きだ。
夏くんとスタンプを送りあって、桜ちゃんにもスタンプを送った。
ようやく下着を脱いで、お風呂に入る。
シャワーを浴びて洗顔を済ませて、化粧水をつけてからパックをのせてその頃にはお湯がバスタブに並々と張られているから、更に入浴剤を入れて肩まで浸かる。
体の芯まで温まりながら、冷蔵庫で冷やされたパックで毛穴をキュッと引き締める。
夏場には気持ち良くて最高だ。
お風呂に入りながら、桜ちゃんとのライン。
[今、勉強中だよ(汗)蜜柑ちゃんに私の宿題を手伝って欲しいし、いっそのこと家庭教師として雇ってしまいたいレベルかも(笑)]
[いいよ〜。ところで時給はいくらですか?]
[バイト代は全て、私の手作りお菓子だよ♪]
[いいな〜。桜ちゃんのお菓子食べたいな。]
なんて事ない、いつも隣の席で会話しているような他愛のない会話達が、可愛いスタンプに彩られて画面の中で繰り広げられていく。
お風呂から上がるまで、ダラダラとラインは続いた。