二択

出会い

坂城の代わりに、名護と対面した長谷川正流は、

役目を終えた帰り道…かけていた伊達眼鏡を外した。


妹の知佳子の死を振り切り、歩き出した長谷川はふと足を止めた。


それは、普段はいつもある何気ない風景の一つであるが、

いつもと少し色が違う為、長谷川の無意識の視線が、それをとらえたのだ。


「赤い…月?」

血のように、熟した果実のように、

赤い月。



伊達眼鏡を外した長谷川は、その異様さに足を止め、目を奪われた。

そして、最寄りの駅まで歩くはずだったのに、月に魅せられた長谷川は、


拘置所近くのバス停に、タイミングよく滑り込んできたバスに吸い込まれるように、

乗り込んでしまった。


運命とは時に、

残酷な程…無慈悲な時がある。

まったく違う2人が、

混じる時、

それは、

神の残酷さに似た反応を、起こした。




< 104 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop