二択

虚ろな瞳

心療内科のある病院の待合室に、彼女と彼氏はいた。

それは最後の希望だった。

彼女の名は、戸川優子。

彼氏の名は、岬拓真。


患者は、戸川優子の方であった。

彼女は、精神を病んでいた。

その病気になった理由は、病気ではなく…病院であった。

この話を話す前に、心療内科というものについて述べよう。

数年前、法律が改正された為、精神科医が心療内科を名乗ることができるようになったが、

真の心療内科は、精神科とは異なる。

心療内科医は、手や指先で吐血など患者の状態を診ることができないといけない。

もともと内科医とは、そういうものであったが…最近の若い医者は、指先で患者を診断することはできない。

そんな内科医とわける為に、経験と技がいる心療内科はわけられたのだが、精神科医との混同が、心療内科というものを混乱させている。

患者1人1人と向き合う心療内科医は、簡単にデパスなど薬を出すことはしない。

あなたの掛かり付けの医者が、あなたの体を診ずに、薬を出したならば、真の意味の心療内科医でないと言える。


戸川優子という患者は、薬により…精神病になった人であった。
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