二択
「男?」

意外そうに、言う女医に、

幾多は軽くふき出した。


「駄目ですかね」

幾多は、窓から視線を外すと、身を寄せている女医の顎に手をやり、

キッスをした。


「もお!」

数秒後、唇を話した幾多を、女医は軽く睨んだ。


しかし、幾多はまた窓の外を見ていた。


もう男はいないが…。


「さっきの子…。長谷川君でしょ」

女医は、幾多が自分にあまり興味を示さないから、話題を変えた。


「…」

だけど、幾多は答えない。

「どうして、彼が気になるの?彼は…」
「頭脳明晰。品行方正」

女医の言葉を、幾多は遮った。

「僕のような遊び人とは、まったく違うと」


「そ、そこまでは…」

女医は、幾多を怒らしたと思ったが、

「!?」

幾多はまた唇で、女医の言葉を止めた。


そのまま抱き締め、

立ったままで、

女医を抱いた。





女子生徒と違い、気は失わなかったが、

女医は腰が抜けたのか…その場でへたりこみ、立てなくなった。

幾多は平然と、また窓の外に目をやると、


「普通に勉強ができるやつも、今グラウンドに…いや、この学校にいるほとんどのやつの考えていることは、わかる」

幾多は笑い、

「下らない悩みばかりさ」

へたりこんでいる女医に、ウィンクをした。

「やつらの見てる世界は、下らないし、想像できる。だけど…」


幾多は目を細め、

「あいつの見てる…いや、これから見ていく世界は、僕には想像できない世界なんだろうなって…考えてた」


「幾多君…」

女医は乱れた白衣を直しながら、幾多を見上げた。


「僕が想像できない世界を見ることができる…あいつが、少し羨ましい」


幾多は頭をかいたら。

「だけど…」

そして、しゃがむと、女医と目線を合わした。

「あいつも、僕の世界は理解できない」



「あっ」

幾多は、女医の両肩を掴むと、

そのまま後ろに押し倒した。
< 92 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop