【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
「美々……っ!」
直仁さんがまた、あたしをきゅううぅっと抱きしめる。
「おれの方がもっと好きだ、愛してる。
だから……早く、寝室へ行こう」
——ちょっと、待って。落ち着いてっ。
あなた、たとえ「世を忍ぶ仮の姿」ではあったとしても、一応『性格が穏やかで紳士的な中谷さん』だった人でしょう?
それに、契約書をびりびりに破いたつい先刻までは、あたしたち「白い結婚」のはずだったんだけど?
「あっ、そういえば……大橋さんに案内してもらったときは、寝室だけはさすがに見せてもらえなかったんですよね」
すると、直仁さんはやんごとなき末裔らしからぬ舌打ちをした。
「くそっ、典士になんか案内させないで、自分で美々に寝室でもどこでも見せればよかった。
……あーっ、あいつと二人きりでこの部屋に来たんだよなっ⁉︎」
——なんだか、思ったよりめんどくさい人だ。
でも、なんとか気を取り直して、
「ここはメゾネットになっていてね。二階部分のすべてを寝室に充てているんだ。
欧米でいうところの『ベッドルーム』だからね。バスルームも併設されているよ」
と、説明してくれる。
——へぇ、それはすごい。
そういえば、リビングに向かう廊下の奥にちらっと階段が見えたな。
「それから、美々にはこの部屋の半額分を請求したけれど、実は受け取った分は投資に回して、かなりの利益を得ているんだ。
元手がそこそこあると、手堅い投資先であっても利幅が出るからね」
——あぁ、お金って、やっぱりお金持ちのところに寄ってくるのね……
「ど庶民」は遠い目になってしまうわ……