はなうらない

という、噂があった。
本人曰く「いや、末端の末端です」

とりあえず旧財閥の血を継ぎ、仕事もでき、顔もなかなか良いこの男には、婚約者がいた。
いつか結婚するのだと言っていた。

「……それ、は大丈夫なんですか?」
「俺の心を心配してくれてます?」
「ああ、八橋さんの心。いや、家系というか、おうちの方は」
「普通に俺の心の心配をしてくださいよ」

私は返す言葉を考えた。「星の数ほど女はいますよ」とか「もっと八橋さんに合う人はいると思います」とか。
そんな風に上滑りした言葉を吐くことは出来なかった。

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