贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

ようやく 泣き止んだ私を 

悠樹は そっと 胸から離す。


「ごめんなさい。泣いたりして。」

「ううん。明日香の泣き顔も 可愛いよ。」

「恥ずかしい…」

「明日は デートしようか?」

「デート…」

「そう。昼間から 出かけよう。」

「本当ですか?」

「うん。明日香 行きたい所 ある?」

「私 よくわからない…」

「じゃ 少し遠くまで ドライブしようか?」

「はい…夢みたい…」

「んっ?」

「だって。副社長のこと 好きになっちゃいけないって 思っていたから。」

「副社長じゃないでしょう。悠樹。」

「悠樹…さん?」

「そう。これからは 副社長って読んだら 罰だよ。」

「どうしよう…呼べるかな?」

「大丈夫。すぐに 慣れるよ。」


私は 夢のような 急展開が 信じられなくて。

そっと 左手の 腕時計を 握りしめる。


私は もしかして すごく辛い道を 歩こうとしている?

でも もう 止めることなんか できない…


「おやすみ 明日香。また 明日ね。」

悠樹は もう一度 私を ギュッと 抱き締めた。







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