贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

翌日 初めてのデートは 2人共 ぎこちなくて。

「もう。昨日まで 普通に 食事していたのに。明日香 意識し過ぎだよ。」

「だって。副社長も 昨日と違います。」

「あっ。副社長って言った!罰として 手を繋ぐ。」


運転しながら 悠樹は 私の手を握る。

握られたのは 手なのに 体中が 熱くなって。

私は そっと俯いてしまう。


「明日香 何か 話してよ。」

頬を染めて 黙ってしまった私に 

悠樹は 優しい笑顔を 向けた。


「はい。じゃ 悠樹さんのこと 教えて下さい。」

「いいよ。何でも聞いて。」

「悠樹さんって 何才ですか?」

「えーっ?明日香 俺の年 知らないの?」

「はい…」

「もうすぐ 30才。明日香より 7才上だよ。」

「へぇ… 悠樹さん 外見は 若いけど。すごく しっかりしているから。年齢不詳ですよね?」

「んっ?それ 褒めてるの?けなしてるの?」

「もちろん 褒めてます。」

「ハハハッ。明日香には 適わないなぁ…」


少しずつ いつもの空気に 戻ったけど。

名前を 呼び合うだけで いつもより 甘くて。


幸せな 居心地の悪さに

私の頬は 染まりっぱなしだった。





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