贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

悠樹の両親は 私との結婚に 

反対はしなかったけど。

積極的に 賛成も してくれなかった。


初めて 悠樹の実家に 挨拶に行った時。

お義父様は 会社で 多少 

私のことを 聞いていたようで。


「前田さん 総務課での 評判は いいね。」

と親しげに 話しかけてくれた。

「ありがとうございます。でも まだ 皆さんに 教えて頂くことが 多くて。ご迷惑をかけて しまっています。」

緊張で 上擦っていまう私を

悠樹は クスッとわらった。


「悠樹と結婚することは 仕事よりも 大変だと思うけど。耐えられるかな?」

私は なんて答えていいか わからなくて

隣に座る悠樹を そっと見る。


「明日香のことは 俺が 支えるから。大丈夫だよ。」

「いずれ悠樹は 社長として 会社を支えなければならない 立場だから。前田さんには それが理解できるかな?」

「正直申しまして 今はまだ 理解できてないと思います。これから 悠樹さんが どれだけ大変な思いをするのか 予想も つきませんし。でも 精一杯 悠樹さんの力に なりたいと思っています。悠樹さんが 家で 寛げるように。」


「経営者の妻って すごく 孤独よ。あなた 我慢できる?」

お義母様は 試すように 私を見た。


私の胸は 張り裂けそうに 高鳴っていた。

「はい。我慢できます。」

悠樹が スゥーっと息を吐く。


「もう いいでしょう。俺と明日香を 信じてほしい。」

「信じてないわけじゃないわ。意地悪じゃないのよ。半端な気持ちで 結婚してほしくないから。悠樹と結婚するなら それなりの 覚悟をしてもらわないとね。前田さんに その覚悟があるか 聞いただけよ。」


お義母様の言葉は 厳しかったけど

決して 理不尽では なかった。


本当に それくらいの覚悟が 必要だって

私は 悠樹と生活しながら 気付いた。






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