救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
この検診(健診)室は、監視担当の者が別室で検診(健診)の様子をモニタリングできることで、医師・受診者双方がセクハラやパワハラの被害にあっていないかを監視している。

女性の受診者は、全員女医が診察することになっているので、その間の監視モニターはオフにすることなっている。

だが、まれに女医のところにこうして男性の受診者が送り込まれることはある。

なぜならベリーヒルズビレッジで働く勤務者は圧倒的に男性が多いから。

その際には、男性の受診者はモニタリングされることに同意してからでないと女医の検診もしくは健診は受けられない。

なお、会話の内容はプライバシーの観点から傍聴されない。

言葉によるセクハラが行われた場合には、女医がとあるボタンを押せば警備員が駆け込んでくるシステムになっている。

そこまで厳重にせずとも、看護師を一名追加で配置すればよいだろう、と考えるかもしれない。

しかし、VIPと呼ばれる人々の中には、病気一つが命取りのスキャンダルになりかねない人達がいるのだ。

秘密を知る人物は一人でも少ない方がよいのとの配慮から準備されたセントヒルズホスピタルのセキュリティゲート。

田中の時にももちろんモニターをオンにしていたのだが、健診の間中、あやめの心に一切不安がよぎらなかったのは、彼の人徳なのか、はたまたあやめの射程距離範囲外だったからなのか・・・?

いずれにしろ田中はあやめの中で安全牌でしかなかったのは事実である。

あやめとて2次元のイケメンには心を動かされるアラサー女子。

自分に気がある男性とのドキドキシチュエーションにそれなりの危機感(期待感?)を持つのは当然だろう、と正当化する自分もいて焦った。

とはいえ、

゛聖川さんだってここにカメラがあると知って来ているはずだし、堅物シャイ(ニング)プリンスだから大丈夫、のはず゛

あやめは根拠のない安心材料を理由に、目の前の堅物シャイ(ニング)プリンスとの二人きりの健診を乗り切る覚悟を決めた。

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