救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
「まずは確認させてください。貴女は光治さんとどういったご関係ですか?」

顔には微笑みをたたえ、自分は敢えて座ったまま、女性の顔を見上げた状態であやめは質問を返した。

「ニューベリーヒルズ内に入っているとある企業の社長の娘ですわ。得意先といったらよいかしら」

「つまり、彼自身とはほとんど面識はないと」

「お会いしたことはございますわ。パーティーなどで・・・」

尻すぼみにゴニョゴニョ誤魔化しているところを見ると、ほぼ面識はないと思って間違いないだろう。

モブ認定だ。

「貴女が先程提示した光治さんの個人情報についてですが、それは貴女のリサーチに基づいたエビデンスに裏付けされた確実なデータなのだと言い切れますか?」

「り、リサーチ?エビデンス・・・?何訳のわからないことを言っているのかしら。みんな噂してるもの。事実に決まっているわ。馬鹿馬鹿しい」

馬鹿馬鹿しいと言いたいのはこっちの台詞だ。

彼女の言動と態度から導かれることは、それらの発言はなんの根拠もない上、身勝手でいいい加減な噂話のレベル。

そして、この一連のくだらないやり取りも、あくまで情緒的な思いつきでの行動であると認めているようなものだ。

実に愚かでくだらない。
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