救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
プロペラの音で騒がしいはずの機内は比較的静かで快適だ。

あやめが博志にした質問は離陸時間が迫っているという理由でうやむやにされ、機内に押し込まれてしまったため未だに解決には至っていない。

窓から見える空と海のコントラストは一面の絵画のようで最高に美しかった。

だか、あやめは景色に集中できない。

隣に、あやめの手を握って離さない、っていうか、撫で続けている光治がいるからだ。

向かいにはそれをニヤニヤと嬉しそうに見つめる中年二人。

「光治さん、手を・・」

「え?どうしました?」

絶対聞こえているはずなのに、プロペラの音で聞こえないふりをする光治。

30分のフライトはあやめだけが微妙な感情に支配される中、気づいたときにはN島到着して終了した。
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