気付いたらゴーストでした。

 思った通り、ガラス戸をすり抜けて外に出る事には成功するが、やはりある距離に達すると、背中に糸が出現し、僕はもがいた。

 オレは……花純さんから離れられないのか?

 なぜ……?

 交差点で自覚なく死んだ僕は、記憶があやふやな上、見ず知らずのお姉さんの部屋に上がり込んでいた。

 花純さんが言うように、この世に留まった原因、イコール心残りというやつをちゃんと晴らせば成仏できるという事か?

 それまでは、花純さんから離れられない?

 僕は仕方なくまた彼女の部屋に戻った。

 ーー僕が死んだこの日。

 どこの誰かも分からない、おそらく小学生の僕は、花純さんとの同居生活を余儀なくされたのだ。

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