気付いたらゴーストでした。

 花純さんは時計を見たあとポツリと呟いた。マイペースにそのままTシャツを(まく)ろうと手を掛ける。

 彼女の白い腹部がチラッと見えた。

『わぁああっ!!』

 僕は咄嗟に声を上げた。両手を振って花純さんの動きを制する。

 なに、という目で見られた。

『あの。着替えるんなら、言って下さい。オレ離れてますから……』

「そう? 別に構わないんだけど」

 変な子ねぇ、と呟き、花純さんは服を手に脱衣所に向かう。

 いや、変なのはあんただ!

 いくらオレが幽霊でも、子供でも、他人だし、第一男子だし!

 うっかり裸を見られても大丈夫って一体どんな神経してるんだ??

 仮にも……。花純さんの胸は大きい、……し。

 そう考えて恥ずかしいなと思った。

 若いお姉さんの裸を想像してこんな気持ちになるなんて、僕はかなりのスケベかもしれない。

「着替え終わったよー? あれ? ゴウくん大丈夫?」

 何となく落ち込み、縮こまっていると、花純さんに顔を覗きこまれた。

『大丈夫です』と若干ふてくされて答える。

 花純さんは淡いパステルカラーのワンピースを着ていた。結んでいた髪も下ろし、可愛く整えている。
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