気付いたらゴーストでした。
 知るはずのない事を、既に知っているようなデジャブに見舞われていた。

「蓮くん、どうかした?」

「あ、いえ。なんでも……」

 そう言って首を振った時。

 彼女が僕を見て、気安く話しかけてくれる映像が一瞬だけ頭の中に浮かんで消える。

 やっぱり夢、だろうか?

 僕の願望から、彼女と仲良くする夢を見ていたのかもしれない。

 頭を抱える僕を見て、花純さんは心配するが、大丈夫と笑顔で返した。

「あの……、もしかして。樹から何か聞きましたか?」

「いつき?」

 花純さんの反応を見て、あっ、と思い直す。

「篠原の事です。その、俺がバラを買ってた理由とか……聞きましたか?」

「あの……、はい。少し、だけ」

 そう言って俯いた彼女の顔がたちまち赤くなるので、全てバレているのかと理解した。

 バレてるのなら、それはそれで仕方ない。

 僕は両手をグッと握り締め、意を決して口を開いた。

「あの……! 俺っ、花純さんの事が好きなんです。だから毎週、バラを一本買ってました。あなたに、俺の事を覚えて貰いたくて」

「………っ、はい」

「俺、多分花純さんより年下だと思うんですけど。それでも良かったら、付き合ってもらえませんか?」

「はい……っ、私で良ければ、喜んでっ」

 えっ……。
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