世界が終わるとき、そこに愛はありますか
電話の向こうですすり泣く声が聞こえた。


『奈津、大丈夫だよ…っ。今、涼くんに電話かけてるから。きっと大丈夫』


そう言う愛結ちゃんの声も震えていた。


ただ事じゃない空気で、とても仕事をしている場合じゃない。


「詳しく話聞かせて。俺の都合は無視していいから、ゆっくり落ち着いて話してほしい」


向こうからふぅーと深呼吸する声が聞こえる。


そして、愛結ちゃんが事の経緯を話し始めた。


『先週の金曜日から雪花が行方不明なの…っ。 

木曜日の夜、雪花からメッセージが届いて、絶対に学校に来るような素振りだった。

だけど、金曜日、雪花は来なかった。

担任に聞いたら無断欠席だって言われた。

雪花はあんまり学校休む子じゃないから心配だねって奈津と話してて…。

電話もかけたし、メッセージも何通も送ったけど、反応はなかった。

土曜も日曜も気が気じゃなくて、探そうとしたんだけど雪花の家が分かんなくて結局探せなくて…っ。

深景って人の家に住んでるのは知ってるんだけど、その場所が分からなかったからあたしたち何もできなかった…っ。

それで今日、学校行ってみたけど、やっぱり今日も欠席でさ…っっ。

こんなの絶対におかしい、何かトラブルに巻き込まれてるに違いないのに、どうしていいか分かんなくて…。

一応昨日、警察に相談しに行ったんだけど、事件になってないから動けない、ただの家出じゃないかって言われちゃって…っ。

涼くんなら何か知ってるんじゃないかって思って、大也に番号聞いて今かけてる…。

何か知らない…?』
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