世界が終わるとき、そこに愛はありますか
そうしてあたしは自分の忌々しい過去、現在、すべてを話した。


途中言葉に詰まることも、涙が溢れそうになることもあったけど、深景さんはすべてを受け止めてくれた。


「…引くよね。こんな話。ごめんね?」


重苦しい空気に耐えきれず明るく謝ってみせたあたしの頭に、深景さんの手が触れる。


「今までよく頑張ったな」


優しく温かいその仕草に涙腺が緩む。


こんなに泣き虫じゃなかったはずなのに。


「泣きたかったら泣けばいい。もう我慢しなくていーんだよ」


あぁ…なんでこの人はあたしが必要としていた言葉が分かるんだろう。


ずっと、我慢していた。 


部屋でこっそり泣くことはあっても、人前で泣くことなんて滅多になかった。


泣くとアイツらの思うツボだから。


だからずっと堪えていた。


「…っありがと…深景さん…っ」


愛結や奈津にも言えなかったことが深景さんには言えた。


それを受け止めてもらえた。


こんなあたしでも受け止めてくれる人がいるんだ。


そう思うとすごく嬉しくて、涙が止まらなかった。


「…もう安心していい。俺がなんとかしてやる。な?」


他の誰の言葉よりも頼もしい言葉。


深景さんはあたしが探し求めていた救世主だ。


やっと見つけた救世主なんだ。
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