世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「おい、お前どこ行くんだよ」


病院から出ていこうとするザキさんを、深景さんが鋭い口調で咎める。


「あっいや、路駐しっぱなしはマズイかと思って…車動かしに─」


「あとで話があるから俺から逃げんな」


「…すみません」


深景さん相手だと随分萎縮してるもんだ。


やっぱ怖い人なのかなぁ…。


「…悪いな、怖がらせて。もう治療してもらえるからあと少し頑張れるか?」


あたしには優しい人にしか見えないんだけどな…。


そんな深景さんは、受付横にあるエレベーターの下ボタンを2度押し、上ボタンを3度押した。


すると、重い音をたてながらエレベーターの扉が開いた。


けど、その先にあったのはエレベーターではなく、一面鉄で作られた通路。


その突き当たりを曲がり数歩進んだところにある一室に、葛原と呼ばれた先生はいた。

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