きみに ひとめぼれ
二学期の始業式。
久しぶりの学校なのに、久しぶりな感じがしないのは、毎日部活のために学校に来ていたからだ。
ほとんどの部活動が夏休みも練習に出ていたから、友達に会えた喜びや感動なんてものはない。
その代わりこの学び舎に広がるのは、落胆の声ばかりだった。
その声は、このまだまだ暑い九月のだるさに追い打ちをかけてくる。
「ああ、ほんとヤバい。なんで新学期早々テストなんだよ。
何とかしてくれよ、勝見ー」
「俺には何ともしてやれん」
俺はきっぱりと突き放す。
「えー。冷たい。勝見のくせに」
そう笑って蹴りを入れてくる。
本当にヤバいのか、本当は余裕なのか。
それとも諦めているのか。
廊下には教科書とにらめっこをしている生徒がずらりと並ぶ。
最後の追い込みをかけているはずなのに、夏休み気分が抜けきれず何となくそわそわとして賑やかだった。
テストに身が入らないのもわからないでもない。
廊下のざわめきが、いつもの学校生活を徐々に呼び戻していく。