泣いて、凪いで、泣かないで。
俺は翌日、重くてふらふらの体を起こして学校に向かった。

教室に入ると、夏休みとなんら変わらぬ景色が広がっていた。

グループになって固まって話し、

女子は彼氏の悪口、

男子はゲームの話。

真面目に勉強をしている人もいれば、

すやすやと寝息を立てている人もいる。

その中にもう、美凪はいなくて、

俺の席も変わってて、

美凪の席はなくなっていた。

毎年スタートは前後で、

俺が肩を叩けば、振り向く。

頬をつねると、すぐ膨れる。

授業中に眠っていれば、シャーペンの先でツンツンして起こしていた。

弁当に卵焼きを持ってきていれば、ひょいっと奪っていた。

放課後に「じゃあな」って言えば、

「またね」って言ってくれて、

その"またね"が数時間後の夕飯だったり、

学校へと続くあの坂道だったり。

いつだって、探せば見つけることが出来て、

いつだって、また会えるって信じて疑わなくて、

いつだって、次こそは笑わせてやろうって思っていた。

それなのに、

いないんだもんな。

いくら、探しても

いないんだもんな。

もう...いない......。


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