10年分の「好き」をキミに。
『先輩、あのっ!私……先輩のこと好きなんです!』


『マジ?ありがと。俺も』


「きゃ〜!やっぱりここ最高だよね!」


スマホを片手に騒いでいるのは私の親友の佐倉彩音[さくらあやね]。


「彩音。歩きスマホしたらダメだよ」


ジッと食い入るようにスマホを見つめている彩音に注意を促す。


まあ彩音は何言っても聞かないんだけどね。


そんな私達はどこにでも居る普通の高校生……ではありません。


「ごめんって咲希。だって咲希が主役のドラマ、めっちゃ面白くて何回も見返しちゃうんだもん」


そう。芸能人です。


芸能人とは言っても彩音はモデルで私は女優なんだけど……。


彩音とは、中学生の時に、同じ業界で仕事をしていることがキッカケで仲良くなった。


「彩音、表向きは"寡黙で超クールな女王様"なんだからファンの人にこういう所見られたら大変でしょ?」


ロングの黒髪にくっきりとした二重の線。さらに身長も高くてスラっとしているからぱっと見は超クール系。


そんな彩音を見た雑誌の編集長がクールキャラで自分を売り出すように言ったんだとか。
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