【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
別に持ち上げるつもりで言った訳じゃない。自然に出た心からの本音だった。
無表情を取り繕うとしたけれど、笑いがこみ上げて仕方がないらしく、背中を向けて身を震わせていた。
やはり病的な照れ屋である。
ゴホンと咳ばらいをして、ちらりとこちらへ視線を向ける。
「本当にお前はしつこいな。こんな時間まで待っているとはさすがの俺でも思わなかったぞ?」
「いま、何時?」
「もう21時だ」
「え?!私何時間寝てたんだろう…」
「はぁ?!寝てたとか!呑気な奴だな、お前はッ。
大体こんな所で寝るんじゃねぇ。風邪ひくぞ、馬鹿がッ」
顔を見合わせていつも通りのような会話。何も解決なんかしちゃいないんだけど、普段通りの会話が出来るだけでこんなに嬉しいなんて…。
思わず笑みがこみ上げてしまう。その姿を見て、真央は眉をしかめる。
「何を笑っている。俺は怒ってるんだぞ?」
いきなり厳しい口調になったから、思わず下を向く。すると真央は大きなため息を吐いて、頭を抱えた。
もう呆れられちゃってるかもしれない。真央はとっくに別れを決めているのかもしれない。だってその証拠にこのマンションの荷物は殆どなかったし…。
それでも最後でもきちんと謝って自分の想いを伝えなくちゃいけない。
「ごめんなさい…」
「謝罪の言葉なんか聞きたくないね」
ツンと視線を宙に向けて、不機嫌そうな視線をぶつけたまま
「それでも、私謝る事しか出来ない…。あんな写真撮られちゃって誤解されるのは当たり前だし…。
それにちょっと本音の中で普通の大学生らしい事をしていて楽しいって気持ちはあった。
私、真央が誰よりも私に普通のカップルみたいな事をさせてあげたいって気持ちは理解してた。その気持ちを分かってながら、どこかで真央と自分は違うって線を引いている部分があったのは事実で…」