子離れ
食卓の上に残された、肉なし野菜炒め。
器用に肉だけ食べた我が子。
この子には目の前の私が見えているのだろうか?
そんな疑問を持ちつつ、観察を続ける。
側にあった麦茶を一気に飲み。
小さくゲップ…
「御馳走さま」
携帯片手に立ち上がる。
途中、キッチンへより、アイスを物色。
そのまま自室へ引き上げる。
『次に出てくる時は、何か飲む時ね…』
そう考えながら、私は残された野菜炒めを食べるのだ。
休日も同じ。
我が子は朝から友人達とお出かけ。
夕飯は食べるだろうと用意していると
LINEの通知音。
もちろん、「メシ、食ってくから」のお知らせ。
1人だと食べなくてもいいかと、本を読んだり。テレビを見たり。
そうしているうちに帰ってくる我が子。
取り敢えず聞く。
「ご飯、食べてきたんでしょ?」
向こうも取り敢えず
「うん。お母さんは?」
「まだ」
「ふーん、どっか食べに行けばよかったのに」
……我が子は平気で、私を傷つける。
まぁ、本人にそんな気は、ないのだろうけど。
母が勝手に胸を痛めてるだけのこと。
この寂しさと、虚しさを受け入れる事が子離れなのだろう。
我が子は上手く親離れしつつある。
それでいいのだ。