恐怖庵
帰れ、帰れ、帰れ、帰れ、帰れ
…
……
そんな僕の祈りが通じたのか
女は諦めたようで
しばらくすると呼び鈴は鳴り止みました。
諦めて帰ったんだ
「…はぁ…」
警察にでも相談してみるかな
夏場、無駄に汗をかいたせいで
喉もカラカラです。
「ふぅ…」
流しで喉を潤して
僕は電気を付けず
足音を立てないように気を付けながら
そっと玄関に向かいました。
本当に帰ったのか
何かいたずらをしていないか?
それを確認する為に。
気のせいか異様に長く感じる
玄関までの廊下をゆっくり進み
ドアに付いている覗き穴を
そっと覗いてみたんです。
誰もいない。
そう思いたかった。
声が出ませんでした。
そこには同じように
こちらが向う側を覗いてるのと同じように
反対側の覗き穴から
こちらを覗いている
女性が立っていたのですから。