あの丘で、シリウスに願いを
試合が始まると、異様な熱気に包まれる。
正直、テレビほど選手の顔は見えない。だが、臨場感に圧倒された。
ピンチの時はみんなで息をのみ、点が入れば周りで抱き合って大騒ぎ。
始めこそ戸惑っていた翔太も、周りの真似をしながらあっという間に馴染んでいった。

「勝った、勝ったぞ!」

最後、まことの仲間たちと肩まで組んで応援歌を歌う翔太の姿があった。




興奮さめやらぬままに、翔太とまことはスタジアムを出た。

「いやー楽しかったなぁ」
「よかった。途中で帰りたくなっちゃうかと思いました」
「とんでもない!こんな楽しいことを知らなかったなんて、俺今まで人生損してたよ。ありがとう、まこと」

まことの肩を抱き、満面の笑みではしゃぐ翔太。

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