君の腋を舐めたい


福ちゃんがフウッと漏らしたように、

視線の先でトボトボと歩くチヅルちゃんは、どこかリサちゃんと雰囲気似ている気がした。


どちらかというと大人しそうで、
運動部というより文化部系。


同じ“地方出身組”で、余計に親近感が沸いて波長が合ったのかもしれない。

リサちゃんにとっては・・
気の許せる、大学で出来た友情。

でもチヅルちゃんにとっては・・
友情を越えたそれ以上の想い・・。



「落ち込んでるというか、
覇気が無いというか・・

あの様子じゃ相当引きずってるかもしれませんね。」


「自分は同性愛者だって告白する事が・・
どれだけ勇気を振り絞った事か・・。

感情が暴走して、リサちゃんに狂気を向けた動機としては説明がつくね。」


「・・・・でもアサミさん。
肝心な“この後”・・どうします?」


「・・それなんだよねぇ・・!!」


眠気を吹き飛ばす意味でも、思わず“アァァァ~!”と腕を伸ばして思いっきりアクビする。


ストーカー事案において、
絶対的な確証を持っていない限り、

容疑者と警察が接触するのは絶対にやってはいけない御法度だった。


警察が動いている事は絶対に容疑者にバレたらいけない。

証拠を持って逮捕できるならいいけど、そうじゃ無かったら事情聴取すら許されない。


下手に刺激してヤケを起こされたら・・
想像するだけでゾッとする。


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