遺書
「蛇島さん、来てくれたんですね」
「由利ちゃん。先生の遺書が見つかったって、本当かい?」

屋上に姿を現した蛇島さんは通夜で会った時と同じ格好をしていた。

「はい。こちらになります」

私は抱えていた遺書を蛇島さんに差し出した。彼は震える手でそれを受け取るとすぐに内容を確認する。

「ああ、先生。そんなに苦しんでいたとは…」

蛇島さんは悲痛な声を漏らして顔を歪める。

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