『ひとり』から『ひとり』へ。

 若くして結婚した。

それから、二十数年…


「あれ?私。ひとり?」


そう思う事が増えていた。


毎日、仕事と、家事と育児。


でもそれは私がやる事で。当たり前の事で。

誰からも


「ありがとう」 「手伝うよ」


そう言ってはもらえなかった。


買い物もひとり。

カートを押してくれる人も、重い買い物袋を持ってくれる人もいない。


1時間弱かけて作ったご飯も、10分ほどで食べられる。


「美味しい」とか「ありがとう」は…
もちろん無い。


洗い物もひとり。



何をするのも、ひとり。


ひとり、ひとり…


家族といるのに『ひとり』だった。
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