俺様天使の助手になりまして

「はい。大変申し訳ございません。恥ずかしながら、歌を聴いてすぐに号泣致しまして気力が出ず、〝出来ません〟と申し上げました」

「参ったよ。おいおいと声を出して泣いていて、宥めるのに苦労したんだ。まさかこの胸で男の涙を受け止めるとは思わなかったよ……お譲さんみたいに可愛いと、僕も慰めがいがあるし、いつまででも抱きしめていてあげるんだけどなあぁ。そうだ! 君、サナダと交代しないかい? 僕は、優しくするよ?」

 リクトールは怖いだろう? と言い、にまーっと笑ってウィンクしてくる。

 サナダは主の言葉に心底驚いたようで、青い顔をして口をパクパクさせている。

 アルバルクは、天使のくせにカルイ人みたいだ。にこにこしたまま頬杖をつき、私のことをずーっと見ている。

 ど、どうしよう。天使姿のままだから、やたら輝いていて眩しい。それに、こんなとき何て言ったらいいのか、困る。

「えっと、先を、話してください」

 もごもごと呟いたら、アクマ天使の手が目の前に現れた。アルバルクの笑顔やキラキラが視界から消え、ホッとする。

「アルバルク、いい加減にしろ。無駄な威光を見せるな。脱線すんな」

「おぉっと。怖いな、リクトール。ふふん。僕は、分かっているよ?」
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