君を輝かせるのは私だけ。
「…この試合のこと全力だったからか、あんま覚えてないんだよね。」

「…このあと、長いラリーになって、エース宮本選手が倒れ込みながらくずれたハイセットのトスを相手のインナーコースに叩きつけるんですよ。」

「詳しいね。」

それは、何回も見たから。

確かにそのシーンも好きだけど、

そのあとその興奮を良い意味で自分のものにして、

サーブレシーブを完璧に上げて、

スパイクを叩き込むシーンが大好きだから。

これから先の、夢を見させてくれたから。

この人はもっともっと羽ばたいていくって確信させてくれたから。

ドキドキが止まらなかったから。

…あぁ、やっぱり私の初恋で。

そして、

「…」

隣で画面を見るその顔を少し横目で見る。

そして、

まだまだ進化する彼のバレーに、

キラキラと光り輝く彼に、

私の初恋がしぼむことなく、ふくらみ続けてることを再度自覚する。

「…祐真さん、この前はすみませんでした。」
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